お知らせ・年間行事

年間行事

年間行事

1月

歳旦祭、初祈祷

2月

祈年祭、節分祭、初午祭

6月

大祓、茅の輪くぐり

7月

水神祭、形代流し

10月

例祭

11月

新嘗祭、七五三

12月

大祓、火鎮式(お焚き上げ)

形代流し

形代流し

御神輿

御神輿

歳旦祭

歳旦祭

新嘗祭・祈年祭

私たちは水、太陽の恵み、四季に恵まれた風土に生きています。太古の先人たちはこの気候を生かし、生かされるため、米をはじめ五穀・野菜の栽培を始めました。凍てつく冬をなんとか乗り越えると、さらに次の冬を見越し再度命を繋ぐことができるよう、祈りをささげました。春夏秋、次の収獲のため田畑でかいた汗は土や泥と混ざり体からしたたり落ち水沫となり、さらに獣や鳥の害、ひでり・長雨・冷害・台風の害、などから作物を守りぬき、ついに秋の収穫を迎えた喜びを感謝の祭に仕えます。


奈良平安の時代、春先の豊作祈願は祈年祭(としごいのまつり・きねんさい)、晩秋の収獲感謝は新嘗祭(にいなめさい)という神事に定着し国家行事となります。戦後、神事の主体は国から神社に移りましたが先祖の遺志とそれを守る地域氏子の篤心によりこの一対の祭は神事として現在も脈々と続いております。この大和の風土のなか水と空気と土と太陽の力を恵と頂き、時に極寒、灼熱の不毛の季節を生き延びる生活を確固基軸に身に備え、それを元に地域が整えられひいては国の骨格が熟成されてきました。


他国から美しい国・思いやりあふれる国と賞賛されるまでに至っているのは、時に身近な者からの言い伝えなどで、時に神社の神事などで目に触れ耳にし、日々の生活の節々で人の生きざまの原点を忘れないでいるからではないでしょうか。

茅の輪くぐり

茅の輪

茅の輪

蘇民将来の子孫の表札

蘇民将来の子孫の表札

茅の輪(ちのわ)の茅(ち)とは、カヤのことで、ススキのほかヨシやチガヤなどイネ科、カヤツリグサ科の植物の総称で茅葺屋根の材料でもあります。神社の茅の輪は主にススキを材料とします。


茅の輪くぐりは、前川神社の3柱のご祭神のうち素戔嗚尊(すさのおのみこと)にゆかりを発します。素戔嗚尊は地上の平穏安泰を高天原の御祖神に命じられ、地上に降りて数々の神威を発揮します。また、地上におりた素戔嗚尊は、牛頭天皇(ごずてんのう)、武塔神(むとうしん)などの複数の別名をおもちです。素戔嗚尊にまつわる有名な神話にヤマタノオロチ退治がありますが、そのほかに備後国風土記逸文には蘇民将来(そみんしょうらい)伝説なども伝えられています。茅の輪くぐりの風習はこの蘇民将来伝説がもとになります。


その内容は以下のようです。


御祖神(みおやがみ)の命に従い全国各地を巡行していた素戔嗚尊は、ある村で一軒の大きな屋敷に一夜の宿を請いました。家主は名を巨旦将来(こたんしょうらい)といいました。裕福に暮らしていましたが、素戔嗚尊の願を聞き叶えることはいたしません。

別の場所に兄の蘇民将来(そみんしょうらい)がいました。素戔嗚尊は、次に兄の蘇民将来(そみんしょうらい)をたずねます。蘇民将来は自らの食にも困る程の貧しい家ではありましたが、こころよく食事や風呂の用意をし、手厚く素戔嗚尊をもてなしました。


やがて、その村を疫病が襲うことになることを察した素戔嗚尊は、去り際に疫病の予防法を蘇民将来につたえ、素戔嗚尊はその地を去ります。その方法は、茅の輪をつくり腰につけて暮らすことでした。

後、素戔嗚尊の予感どおり疫病がその村を襲います。素戔嗚尊の助言をまもり茅の輪をつけて疫病をやり過ごして生き残り、繁栄を叶えた蘇民将来の子孫たちは、現在に至るまで自宅の門や表札、田畑の角に自分が蘇民将来の末裔である由の書かれた紙を貼り、暮らしを重ねています。



昭和40年くらいまでの当時、茅はどこにでもありましたし、屋根材にする上等なものを除けば生活の周囲に使いきれないくらいありました。茅の輪の伝承は瞬く間に全国に広まりました。茅の輪の威徳にあやかろうと、牛頭天王(素戔嗚尊)を祀る京都祇園に端を発し全国各地の神社(素戔嗚尊に縁があろうがなかろうが)では夏越(なごし)の大祓行事には大きな茅の輪をつくり、茅の輪くぐりが生まれ広まりました。


人々の生活様式がかわる昭和30年~昭和40年代くらいを境に茅と人の距離は離れ、茅の輪の材料の茅を手に入れることすら容易でなくなり、茅葺屋根も茅の輪くぐりの伝統行事もすたれてゆきました。

6月の晦日の夏越の大祓のほんの一日だけ(長くても数日間だけ)作られ、終わればすぐ取払われる茅の輪ですから人々の記憶にも残らず忘れ去られようとしています。


一年草であるススキは冬には枯れ春に芽を出し、夏には人の背丈より成長します。夏越の大祓は、毎年6月30日におこなわれます。大体全国この頃、茅は茅の輪をつくるのにちょうどいい長さに成長しています。茅の若草を刈って作り終えたばかりの茅の輪は青々としてそれは清々しいものです。しかしその状態は数日が限界です。茅の輪は毎年6月15日頃作成する予定です。

この時期、大祓を兼ねぜひ御参拝くださり、清々しい茅の輪くぐりの情感をお感じ頂き、一年の罪穢れを祓い、疫病祓退・無病息災の御威徳におさずかりくださることができますようお祈りもうしあげます。


令和2年6月 前川神社の茅の輪は河原から刈ってきた完全天然素材の茅で、宮司、総代、役員の手によりつくられました。国土交通省荒川河川事務所小名木川出張所様、谷口建設様の協力により茅の輪くぐり行事を復活することが叶いました。

作業中ならび撤去お焚き上げ期間中は近隣にお住いの皆様にはご負担おかけいたしました。

心よりお礼申し上げます。  宮司

前川神社

〒132-0013

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TEL 03-5243-0392

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